セロハンテープ

minoruさんからのすてきな解説
  
誰よりも体操座りで待っていた いつかが嫌いになっていたのね

好きな歌かけながらすきな本読みながら流す涙があってもいいよ

くっついたセロハンテープの切なさを伝える前にゴミ箱へやる

恋ばかりしていたような気もするがいつも危険で胃が痛かった

あたしには絶望ばかりついてきてハーメルンもビックリの夜

効きすぎたクーラーの中のトリ肌と写真の中のCOCCOの笑顔

キーボードたたく傍ら一人身のいとこが節約術を見ている

2003/09/04 UNDERCONSTRUCTION minoruさんより

■『得も言われぬ静けさ』から短歌(と呼んでいいですか?)をひとつ紹介させてください。






くっついたセロハンテープの切なさを伝える前にゴミ箱へやる






これとても好きです。
短歌の解説なんて野暮だけど、野暮を承知ですこし思ったことを書いてみます。
書いてみたくなりました。

「くっついたセロハンテープ」というのはなんだかネチャネチャした指先の粘着感に少しエロティックな触感も含んでいて、そのどうしようもない指先の感じが「切ない」んだけど、その切なさは、あまりに微細で生理的な感覚なので、それを人に伝えるには決意とか(重いものではなく軽い)決心が必要にもなる。
「切なさ」の感情の中には、あきらめや悲しさや怒りや苛立ちやいろんな説明のつかない感覚が含まれてるんだけど、たかが「くっついたセロハンテープ」じゃないかという気持ちをも含んだ「切なさ」なんでしょう。

でも、そんな微細な感覚の積み重ねで「私」ができているのかもしれない。
それは「私」だけではなくて「あなた」もそうに違いない。

「伝える前に」が良いです。
「伝える前に」は「伝えきれずに」と書く人がいるかもしれない。
でも「伝えきれずに」だとしつこいんですよね。
「伝える前」には潔さもあるし、
伝える希望や伝えたい思いも完全に捨ててはいない。
でも今は伝えずにゴミ箱にやってしまう。
でもいつか誰かに伝えるかもしれない。
このへんは微妙でちょっと私の文章力では説明しきれません。
また説明するものでもないと思いますね。
それこそ「伝える前」に短歌を読んだ方がいい。

ここで伝える相手が異性か同性かはわかりませんが、
異性を思い浮かべるとエロティックな読み方も出来るし、
セロハンテープという物から学校の中の情景を思い浮かべ、
友人たちとの関係を読むことも出来る。
そういった読み方に幅のあるところも好きです。

あと「切なさ」は「せつなさ」とひらがなにした方が良いかなとちょっと思いました。
漢字の「切」だと、くっついたセロハンテープを切断してしまうというニュアンスが含まれている気がして、その鋭角的な字面が全体の「どうしようもない感じ」にそぐわないかな?と少し思いました。
あるいは、あえて「くっつく」と「切る」を一首の中で対比させたのかな?
でもこれは好みの問題でしょうね。

もっといろいろ書きたい気もするけどこのへんでやめておきますね。
分析ではなくリスペクトとして書いてみましたが、伝わったかな?
『得も言われぬ静けさ』には、ほかにもすてきな短歌(と呼んでいいですか?)がありますよ。


2003/09/10 実茅
解説というか、わたしの文からのインスパイア(?)されて書かれた文章ということで
とても嬉しいことばを頂いたのでこちらにも載せされていただきました。
minoruさんは批判するでもなく、正当すぎる意見を述べるでもなく、文章は読んでいて不快にもならないし、次に読む本なんかの羅針盤に(勝手に)させてもらっています。
なんだかわたしには旨く言い表せませんが…

読んでいてとても嬉しかったので、こちらでも紹介させていただきました。
ありがとうございました。

そんなminoruさんのサイトはこちら⇒ UNDERCONSTRUCTION

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